「俺は姫役はやらないぞ!
 やるなら男らしい役がいい!」

 俺が大きな声で姫役を否定すると、ようやく皆こちらを見た。

 …何で、そんなに悲しそうな顔なんだよ。

「絶対似合うと思うのにな。アオイちゃんかわいいし…」
アサギは拗ねたように言った。

 ほっぺた膨らませるなよ、15にもなって。

「かわいいってのは、俺にとって褒め言葉じゃねーよ」
いつも繰り返し発言しているセリフを、俺はまたここで言った。

 かわいいと言われても嬉しくない。

「え~?褒め言葉でしょぉ?」
と言って、俺の頭をなでるアサギ。

「だって」

そして俺の目を見て、はっきりとアサギは言った。

「アオイちゃんは、女の子なんだから」