「巧?何ぼーっと突っ立ってんだよ!」

美術部の部室へと続く廊下、美術部員の巧は自分の絵の前で立ち尽くしていた。

「あぁ…、なんでもない。」

そう言うと、部室に向かって歩き始めた。

「今年は新入生、何人くらい美術部に入るかなぁ。」

同じ美術部員の俊也が話しかける。

「あぁ…、どうだろな。」

巧が上の空で答える。

「可愛い子入んねーかなぁ?」

俊也の願望。

「あぁ…、どうだろな。」

「珍しくうちの美術部は男ばっかだからなぁ。」

「あぁ…」

「…聞いてんの?さっきから。」

「あぁ…」

「聞いてねぇだろ?」

「あぁ…」

俊也は頭をかきながら巧との会話を諦めた。