「まぁ、とりあえず会ってみて、話してみるのが一番!ほんとに良い奴だからさ。」

新は優しい笑顔で言う。

「新ちゃんってめんどくさいけど良い人だよね。」

「知ってる。」

「はいはい。」

涼は新を軽くかわすと、美術部の部室をあとにする。

「あ…、巧君!」

涼を見送る新が声を上げる。
美術部の部室に向かってくる巧がいたのだ。

「新ちゃん!」

前から来る巧に涼が焦る。

「落ち着いて、涼ちゃん。大丈夫だから。」

新が言う。

「え…!」

新と涼に気付いた巧が足を止める。

「やっぱりムリ〜!」

涼は反対方向に走り出す。

「涼ちゃん!」

新が呼び止めるが聞かない。


「待って!!」

巧が叫んだ。