「それに…」

「それに?」

「…なんでもない。」

涼は言いかけてやめる。

「巧君に会ってく?たぶんいるよ?」

新は美術部の部室を親指で挿すと涼の返事を待つ。

「…っと、今日はいいや…」

「はい!決定!!行きましょう〜」

新は涼の返事を無視して腕を掴むと、部室に向かって歩き始める。

「ちょっと!心の準備が…」

涼は抵抗する。

「とりあえず会ってみなって!」

新は力ずくで涼を部室の前まで連れて行く。

「巧君さ、ついこの間までオタクかホームレスかってくらいのボサボサ頭だったのに、今は…」

「今は…?」

「自分で確かめてみな?」

「変な人なの!?」

「まじめな奴だよ。」

「まじめなオタクのホームレス!?やだっ!」

「違うよ。どうして足すかなぁ…」

新は部室のドアを開ける。

「涼ちゃんがキター…、あれ?誰もいない?」

新は叫んだあと、部室内を見渡すが誰もいない。