「悪かったよ。すぐ拾ってくるからそんな、怒んなって!」

俊也は後ずさりで、手紙を拾いに行こうとする。

「待っ…待て!」

下を見ながら巧が言う。

「どうしたんだよ。」

俊也も手すりに身を乗り出して下を見る。

すると下には人がいた。

「おい!はやく行かねぇと!」

俊也は焦る。

「だから待てって!」

「何でだよ!」

止める巧に訳が分からない俊也。

「あの子だ!」

「あの子?」

「涼ちゃんだよ!」

「まじで?」

下にいたのは涼だった。

落ちてきた手紙を拾い上げ、上を見上げる。

巧と俊也はしゃがみ込んで隠れる。

「…いや、なんで隠れるんだよ!」

俊也が言う。

「あぁ…確かに。」

巧は頷く。

そして再び立ち上がり下を見たが、そこにはもう誰もいなかった。