「二回!?見かけた!?」

俊也は声が大きくなる。

「うるさいんだけど。」

巧は迷惑そうにする。


「だってさ…、一目惚れ!?…か?」

俊也はたずねる。

巧は無言で頷く。

「へぇ〜、うちの大学の子?」

「うん…」

「何年?」

「さぁ…?」

「じゃあ、学部は?」

「さぁ…?」

「ん〜、どこで会ったわけ?」

「廊下と、図書室?」

「手がかり少ねぇ〜。てか、よく好きになれたな!それだけで。」

俊也は呆れる。

「別にいいだろ…」

巧はすねる。

「そんなに美人だったのか?可愛かったか?」

「…普通?」

「普通かよ!」

「俺にしかわからない良さが…」

「二回見かけただけで?名前も知らないのに?良さ、語れるんですか?」

俊也は詰め寄る。

「もう!いいよ!!」

巧は途中のラブレターを鞄に詰めると、部室のドアに向かって歩き始める。