「何書いてんだよ。」

美術部の部室でペンを走らせる巧に、俊也が声をかけた。

「別に?」

そう言った巧は俊也から見えないように書いていた物の上に顔を伏せた。

「なんだよ、そんなに見られたくないものかよ。ラブレターでも書いてんの?」

そう言って俊也は笑った。

「悪いのかよ…書いちゃ。」

顔を上げた巧は呟く。

「まじ!?まじでラブレター書いてたの?」

俊也は驚く。
そして、巧の書いていたラブレターを覗き込む。

「見っ、見るなよ!」

巧は俊也の顔に手を伸ばして遠ざける。

「手伝ってやろうか?」

俊也は冗談混じりでたずねる。

「断る!」

「俺断られてばっかだな。」

巧に必要とされなかった俊也は自分の絵の制作を始めた。