合コンを断った巧は、しつこい俊也をまいて、図書室にきていた。

特に目的もなく本棚を端から眺めながら歩いていると、昨日のあの子がいた。

自分の絵を眺めて微笑んだ、あの子だった。

本棚を盾にしてその子を見つめていると、どうやらその子は困っている様子。

巧はしばらくして諦めた様子のその子に、声をかけた。

「どれですか?」

するとその子は振り返り、少し戸惑った様子で答えた。

本を手渡した巧は、お礼を言ったその子に笑顔を向けてその場を離れた。

その子に思いがけず会えて嬉しい巧だったが、笑顔が見られなかったのは少し残念だった。