あの日、あたしは何を思った?
雨が―――
降ってた。
ゆっこの家に―――
遊びに行っていて。
不意に、視界に飛び込んできたのは、愛しい瞳でじっと見つめてくるCDジャケットの中央…ボーカルの三枝朱馬。
3年間―――余りに長い日々。
CDを買うことさえ、許されない――地獄のような家。
知らぬ間に、腕が伸びた。
指先はしなやかに広がり、迷うことなくCDラックへ。
バッグの奥にひっそりと眠らせた――想いと罪。
すべては――貴方が愛しいゆえ。"初恋のひと"なんて…
過去形じゃない。
今でも好き。
ずっと好き。
好きゆえに恋い焦がれ。
「会イタイ」―その想いが弾け飛び、
理性が音を立てて崩れ去った。
1ヶ月前――6月のあの日。
あの日に戻りたい…。
ああ、一生言えない隠し事が出来てしまった。
*