「いや、あのですね。とりあえず、簡単に絞らせて言わせてもらいます」
『はぁ・・・?』
その言葉から、きっと校長は顔をしかめているだろうな、と思った。
「うちのクラス、3-5の生徒、蒼井実凪が虐待にあっていました」
『・・・は、はい?』
校長は、信じられないとでも言うように、もう一度聞き返していた。
「今は、なんとかなくなったんですが、今、蒼井の家が警察沙汰で大変になっています」
『・・・分かりました。とりあえず、学校に向かいます。それから詳しく聞いてもよろしいですか?』
「はい」
『じゃあ、篠川さんも学校の方へと向かってください』
「あ、僕は、今学校にいますんで」
『え?あ、じゃあ、至急そちらに向かいます』
丁寧な口調で、かつ急いでいるようだった校長は、ガチャリと電話を切った。