「バカ!声でかいから!」

振り返ると、大貴がピノコに絵本を読んで聞かせている。


「大丈夫みたい。」


「なわけないじゃん?大貴は利口だから聞こえないフリしてるだけだよ。」


なるほど。


もう一度振り返ると、大貴と目が合って、慌てて目をそらされた。


「とにかく、寿一だってそういう年頃なの!うちはただでさえ狭くて一人きりになる空間なんて無いんだから、知らん顔してやらしてあげなよ!」

「やらす?」


ポカンとしてるアタシに、エマは半ギレして耳を引っ張った。


コソコソ…。


「ぶー!お、オナ…。ングッ…。」


叫びだしそうになった口の中に容赦なくフキンを突っ込まれる。


生臭い味が口一杯に広がって、アタシは慌ててうがいした。