「いい!平気!」


アタシは後ずさりした。


「もう何もしねぇよ…。ごめん、暴走したわ。」

優はそう言ったけど、アタシはとても平常心を保てる自信がなかった。


「本当に平気だから。それじゃ!」


競歩みたいな歩き方でさっさと帰ろうとするアタシに、優は叫んだ。


「さっき言った事、本気だから!」


アタシは何と答えていいかわからず、全力で走った。


優の事は好きだ。
でも、成宮君と同じような事になったら…。


その不安が拭えない。


親友と初めての彼氏に裏切られたばかりのアタシは、疑心暗鬼になっていたのかもしれない。


すぐに返事はできなかった。