「俺が全部悪いんだ。本当にごめん!だから…。千草の事を責めないでやってくれないかな?」


成宮君がうずくまる千草の横で土下座した。


アタシに許してもらうためじゃない。
千草のために…。


「おい、そこまですんなよ!顔上げろって!」


見かねた優が、さすがに成宮君を止めた。


「な、千草の事、許してやってくれよ?頼むからさ!」


それでも成宮君はアタシに必死に頭を下げる。


「許すとか、許さないとか…。そういう問題じゃない!」


たまらずアタシはその場から走った。


「利香!」


優の呼び止める声を背中に聞きながら、アタシは全力疾走する。


行き先なんてわからない。


ただ、あの空気から逃れたかった。