｢野々村先輩は高校に行っちゃって、部活も忙しいでしょ？なかなか会えない私達を繋ぐ唯一の手段がメールなの。｣


｢でもそれって、もう１人の彼氏が払ってくれてるんでしょ？｣


｢うん。もう１人の彼ね、タケって言うんだけど。タケとはナンパされて知り合ったの。携帯の番号教えてって声かけられて、携帯持ってないって言ったら、付き合ってくれるなら買ってやるよって…。｣


｢それで付き合ったの？｣

｢そうだよ？｣


｢呆れた！｣


エマの軽率な行動と、単純すぎる二股の理由に情けなくなる。


そもそも二股するのに、単純な理由も複雑な理由もないのかもしれないけど、野々村先輩と連絡を取りたいがために自分を売り、携帯電話を手に入れたという事実に衝撃を受けた。