何も言えずに立ち尽くした明奈は、辛そうな表情であたしを見返してきた。


「だって……ついこの前までは、一緒にドーナツ食べたり、病院抜け出したりしたんだよ…」


そう、アイツに出会ったのも、そんな日だった………


「あたしは皋のおかげで変われた……世の中に光を見つけることができたの……!」


あたしはついに、堪え切れずに涙を流してしまった。


明奈はゆっくりとあたしの側に座って、静かに語り掛けてきた。


「なら……今度は優里が、彼の光にならなきゃいけないね」


「………?」


あたしが彼女の顔を見ると、自然なメイクで包まれた彼女の顔は、とても大人びて見えた。


「ちゃんと最期まで側にいてあげて、いっぱい笑ってもらいなよ」


──自分にできること、精一杯やらなきゃね…