皋は首を傾げた。



「あたしは、皋が居れば良いんだよ」




あたしはそれだけ言って、病室から出た。


後から明奈が追い掛けてくる。


「皋君の言うことも一理有るよ。言っちゃ悪いけど、彼はもう長くない。だから、未来がある優里はちゃんと学校に行って、親友も作らないといけないんだよ」


「わかってるよ!」


あたしは立ち止まって、つい大声を出してしまった。


そんなの、彼の症状の進行を目の前で見たあたしだってわかってる。


自分の寿命が長くないことを悟った彼があたしに気を遣ってそう言ったのも、わかってる。


だけど…………







「……信じたくないんだよ……」




皋が、死ぬなんて。


あの笑顔が見れなくなるなんて。






───…もう二度と、会えなくなるなんて。