人の死に近い場所に居たから、人の心に敏感なんだ。
きっと、そうだ……
「ねぇ、今からあたしも皋君の病室行っていい?」
明奈が尋ねてくる。
あたしは迷わず首を縦に振ったが、その手に持った弁当はどうするのかを尋ねると、
「看護師さんに届けてもらうよ」
と何でもない事のように答えた。
こういう忙しい仕事に就いてたら、合間に可愛い娘の顔が見れるだけでも癒されるんじゃないかなぁと思ったが、あたしにはどうでも良いことなので、明奈を連れてすぐに病室に行った。
案の定、皋はまだ目を覚ます気配はなく、青白い顔で横たわっていた。
あたしはおにぎりとお茶を袋から取出しながら、その人形のような顔を覗き込む。
………本当に、無事で良かった。
自然に目が伏せられてしまう。