明奈は素っ気ない態度のあたしに、少しだけ眉を寄せた。
「ねぇ優里ってば、今日本当にどうしたの?売店でお昼買ってるって事は朝から居たんでしょ?」
「うっ……ΣΣ」
……鋭い。
あたしは観念して全てを話した。
「この病院に入院してる浮田皋が、昨日倒れてさ。心配だったから、学校サボって朝からお見舞い来てたの」
「皋君が!!?」
明奈が目を見開く。
何だ?知り合いか?
今度はあたしが眉を寄せる番だ。
訝しげなあたしの表情に気付いたのか、明奈は慌てて言った。
「あ、その子、パパが担当してる子だから。会ったことはないんだけど、話は聞いてる。不治の病にかかって、生まれた頃から闘病生活送ってるって……」
「そうなの?じゃあ明奈のお父さんが、今まで皋を……」
「うん。ウチのパパ、自慢じゃないけど有名な医者だよ」
明奈は誇らしげに言った。
……この子が無駄に聡いのは、こういう環境で育ってきたからだ。
あたしは思った。