振り返ると、そこには制服を着て、黒い革製のカバンを片手にキョトンとしている明奈が立っていた。


「あ、やっぱり優里だ。今日どうしたの?具合悪かったの?」


明奈はビニール袋片手につっ立っているあたしに、人懐っこい笑みを浮かべて駆け寄ってきた。


あたしは内心焦っていた。


おかしい。


まだ昼間ではないか。


それなのに、なぜ明奈がここに居るのだ?


「今日午前授業でしょ?だから早く帰ってきたの」


「そうだったっけ……」


あたしは苦笑混じりにそう返した。


明奈は勘が鋭いから、本当はあたしが学校をサボってここに居たことに気付いているかもしれない。


「…明奈は、どうしたの?」


「へ?あたし?あたしはさ、パパがここの院長だから、弁当届けに来たの!」


あたしの問いに、少しだけ目を丸くした彼女だが、すぐにまた笑顔を浮かべると、可愛らしいランチバッグに入った弁当を、あたしに見せ付けてきた。




………つーか、それマジでか。