看護師は大きな瞳に涙を滲ませ、口惜しそうに唇を噛み締めた。


「私だって、医学を学んできた……難病に苦しむ人を助けたくてこの道を選んだ………なのに……一生懸命生きることを願う一人の男の子を救えない……!
目の前で衰弱していく彼を、私は見てることしか出来ない…」


強い口調だったが、その声は震えていた。

確かに、医療に携わる者として、患者の命を救えないという現実は、辛いものがあるのだろう。


医療器具もあるし、薬だってある。




……それでも、彼には気休めにしかならない。





「悔しいよ………私、悔しいよ………」


「かんごしさん、」


あたしは啜り泣く彼女の背中に、そっと手を置いた。



苦しいのは、あたしだけじゃないんだね。