ベッドの上で、蝋人形のような顔色で横たわる皋を、あたしは横目で見た。
いつか、あの笑顔を見られなく日が来る。
間違いなく、それはやってくるのだ。
しかも、すぐに。
「…体を造っている細胞や、組織……器官が、だんだん破壊されていくのよ。今回も、消化系の器官が破壊されつつあって、胃の細胞が破壊されていたわ。
だから、手術で胃の半分を摘出したの。これ以上破壊が広がらないために」
看護師は言った。
あたしは、そこで話を聞いてるはずなのに、まるで壁を隔てたように距離を感じた。
遠くに、聞こえた。
「指先の神経細胞も少しずつ破壊が進んでるわ。生まれた頃から目の組織は破壊されてて、使い物にならなかった。皋君が死ぬとしたら、五感も全て失い、人としての機能を全部失って、苦しみながら逝くことになるわ」
「………そんな」
……聞きたくない。
いやだ
いやだ
───…………いやだ……!!!