看護師は、ふーっと長く息を吐いて、あたしから視線を逸らして俯いた。
そして、ベッド脇の丸椅子を取り出し、座るように促してきた。
あたしはそれに腰掛けた。
彼女はあたしを真っすぐ見据えながら、口を開いた。
「最初に言うわ。彼は──
皋君は、もう永くない」
「─────…………」
わかってるつもりだったけど、こうして面と向かって言われると、少しショックだった。
ショック、だなんて軽い言葉で片付けられるもんじゃないけど。
頭を鈍器で殴られたんじゃないかと思った。
「彼を蝕むのは、原因不明の病気。症状も、何もかも」
看護師は遠い目をしてる。
あたしは、スカートの裾を強く握り締めた。