病室の前まで来ると、看護師が残念そうに言った。
「まだ意識が戻ってないから、お話は出来ないけど……顔だけでも見てく?」
「そうします」
あたしは答えながら、皐に駆け寄った。
腕には点滴の針が刺さっていて、管をたどると大きな袋が三つもぶら下がっていた。
口には緑色のマスクが付いてて、呼吸と一緒にそれがわずかに曇ったのを見て、あたしはひどく安堵した。
──よかった………
意識はないらしいが、こうして安定した状態であることを確認できて、あたしは体中の力が抜けてしまった。
彼の無事を確認し、あたしは後ろで見守るように立って居た看護師に、意を決して尋ねた。
「皐は、一体何の病気なんですか?」
彼女の顔が、曇った。