鞄には財布くらいしか入って居らず、もう手ぶらでも良いくらいだが、一応表向きは学校に行ってることになっているので、軽い鞄をぶら下げて家を出た。


空は綺麗に晴れている。


もし空があたしの気持ちを映すなら、間違いなく霧雨が降っているだろうな等とくだらないことを考えながら、あたしは早足で歩いた。


通学の途中で誰かと会ってしまったら全部水の泡だ。

あたしは辺りを見回しながら、慎重に且つ素早く歩く。


ここで焦ってはいけないのだ。


あたしは周りに同じ制服が居ないのを確認してから、一気に走って病院の正面玄関の自動ドアをくぐった。


ガオーンと機械の音がして、外の気温と少しだけ温度差のある院内へと進む。

もしかしたら、病室が変わってるかも知れない。


あたしは、受け付けの事務の人に皐の病室を尋ねることにした。