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「どうしたの、優里。元気無いじゃん」
元気が無い、というよりは、すっかり魂の抜け落ちた人形みたいなあたしを、母は心配に思ったのだろう。
只でさえ帰りが遅かったのだ。
心配していたに違いない。
「何でもないの……」
「そう?なら良いんだけど…あまり無理はしないでよ?」
無駄な詮索をしない母のことは好きだ。
友達も羨むし、あたし自身もそれが一番良いと思ってる。
それに、詮索をしないだけで、あたしのことを考えてくれてることも、幸せだと思える要因だった。
そこまで考えて。
はたと思考が止まった。
あたしはなんて、我儘だったのだろう。
欲張りだったのだろう。
娘思いの母が居て、同じく父が居て、友人が居て。
それなのに……
あたしはやっぱり、皋に出会って変われた。
だから今度は、あたしが彼に──……