あたしはパニック状態に陥った。
さっきまで元気に笑っていた皋が、苦しそうに咳き込みながら紅い命の液体を吐き出している。
血の臭いが鼻を突き刺して、あたしは思わず顔をしかめたが、兎に角どうすることも出来ないあたしは、ナースコールに手を伸ばした。
『ただいま参ります』
事務的な返事の後、看護士が病室に駆け込んでくる。
それからその看護士は顔色を変え、医師と他の看護士を呼びに走った。
それが、経緯だ。
あたしはただ、処置室の前の廊下のベンチに蹲ることしか出来なくて。
けど、知りたかった。
皋が一体、何の病気で苦しんでいるのか。
知らなきゃいけないと思った。