「先生も教えてくれないし、看護師さんも時間になったら病室に来て、血圧計って検温して…点滴して……。

病気、何なんだろう……?あ、でも」


皋は、いったん言葉を切った。

そして、自分の指先をフニフニと触り始める。

あたしはその行動の意図を掴めず、ただそれを見ているだけで、皋が寂しげに目を伏せているなんて、そこまで気を回すことが出来なかった。


「指先の、ここの感覚が無くなってきてるんだ」


「え………」


それは、どういう意味なのだろうか?


「足の指先も。感覚が無くて、うまく動かせないって言うか…痺れてる……のかな?

なんか、不思議な感じ」


「それって……」


もしかして、それがやがて全身に広がるというのだろうか。


「点滴のせいかなとも思ったけど、違うのかな。
きっと病気の症状なんだね」


苦笑しながら喋る皋。


どうして?



何で笑っていられるの?