帰り道、あたしは彼女の話を右から左に聞き流しながら、気持ち早足で歩いていた。
こんな奴の話を聞いてたって、面白くも何とも無い。
好きな芸能人やアイドルグループの話、たいして上手くも無い歌を押しつけてきたり、興味もない俳優の話を延々とされたり。
あたしは内心舌打ちしていた。
アンタの話なんか、誰も聞いちゃ居ないわよ。と、言ってやりたいくらいだ。
───……あ……
そこで、あたしはふと考えた。
今の状況、皋とあたしみたいだ。
延々と喋り散らす明菜があたしで、その隣で内心悪態をついてるあたしが、皋で。
皋も、今のあたしと同じ状況なら、同じように悪態を吐いてるのかな?
表面ではニコニコ笑って見せて、本当は………
「ねぇ、優里はさ〜、毎日ちゃんと楽しかったー、って思えてるの?」
「………は?」
さっきまで聞き流していた明菜の言葉が、いきなりあたしの胸にドスン、と突き刺さった。
どうしたんだ、コイツは。
あたしは思わず立ち止まって、明奈の顔を眺めた。