何時間か経ったら、木下憐が帰ってきた。

園長が庭のブランコに俺がいることを木下憐に言ったらしい…


「あの…」

「ん?」

「今日は…」

「俺さ…」
わざと木下憐の言葉に被せた。

「俺さ、大雨の日にこの施設の前に置き去りにされたんだ。」

「…」
何かを感じ取った彼女は隣のブランコに座った。

「いつかまた、母親が迎えに来てくれるって思って雨の中ズーッと待ってたんだ。」

「…」

「1人ぼっちなんだ。俺……淳司とかと話しても、満たされないだ…楽しいとかそんな感情が無いから…冷めてんだ…俺…。」