「あのー、ところで……」

 駅への道中、俺はよろめきながら言った。

「なんで俺だけ、こんな荷物背負わされているんでしょうか……?」

 俺の背中には、自分のリュック以外に、もうひとつ大きなリュックがかぶさっている。

 そして、両手には持ちきれないほど大量の荷物がある。

 はっきり言って重い。

「あんなこと言ってますが、どうですか解説の見由さん?」

 星空はアナウンサー口調で見由に聞く。

 見由は俺の様子を見て、楽しそうに言った。

「ええ、自業自得っていう言葉の意味と同じだと思います」

「身から出たサビとも言うよね」

 穂波までが、そんなことを言っている。

 結局、俺は山の入り口に至るまで、女性陣の荷物を持たされることになった。

「ところで、知は?」

「ああ、あいつなら他に荷物があるから、親戚の車で送ってもらうって言ってたよ」
 達也が言った。

 荷物とは、絵を書く道具のことだろう。キャンバスとか絵の具とか。

「なんだ、それなら俺たちも載せてってくれればいいのに」

「小さな車だから、二人乗って荷物も入れると、一杯なんだってよ。ま、貧乏人はおとなしく徒歩でいこーぜ」

 俺も荷物で一杯なんだが、と言おうとしたが、さっきの話の蒸し返しになりそうなので、やめにした。

 電車を乗り継いで、山の入り口についた頃には、俺は体力の半分以上を失っていた。