入れ替わりに、星空が近づいてくる。

「やっと夏休みだね、祐介!」

 こちらは俺以上に感情のこもった声だ。

 待ち遠しくて仕方なかったものがやってきたような、そんな感じである。

 表情も、実に生き生きとしている。

「おお、待ちに待ったぞ」
 お互いテスト嫌いだからなあ。

「よし、早速休暇に向けての話し合いと行くか」

「あはは、私もそうしたいのは山々だけど。これから部活あるんだ。帰ってからにしようよ」

 星空は笑いながら言った。

「仕方ないな。じゃあ夕食時にでも」

「うん、そうしよ」

 こうして、話し合いは夕食時に延期されることになった。

 その日の夕食当番は、俺と見由。

 品目は、見由の希望によりキムチチャーハン。

 一歩間違えば「チャーハンキムチ」にしかねない見由に対し、俺は必死で抵抗し、なんとか食べられる程度の辛さに抑えることに成功した。

 その日の食堂は俺の部屋。

 食卓で見由がキムチチャーハンに唐辛子をかけているのが多少気になったが、それ以外の者は普通に食べているようだ。

 実際、俺の基準からすれば、それでもかなり辛めに作ったほうだと思う。