「それより、人気といえば、見由もなかなか男どもに人気あるようだぞ」

 そう言って、話を変える。

「見由ちゃんが?へえ、そりゃ意外だな。と言ったら失礼か」

「いや、俺にとっても意外だった。だけど考えてみれば、わりとかわいい顔してる。年下好きにはたまらんのかもな」

 俺からすると、かわいいことは認めても、恋愛の対象にはならないのだが、まあそういうのが好きな奴もいるのだろう。

 これは言ってみれば元気なのが好きか、おとなしいのが好きかといった問題で、他人がどうこう言う話ではない。

「まあなんというか、ぷにやかだからな、あの子」
 と、達也が言った。

 言ってる言葉の意味はわからんが、言いたいことはよくわかる言い方だった。

 確かになんとなく『ぷにやか』って感じだ。特にほっぺのあたりが。

「人のことより、おまえに浮いた話はないのか?」
 俺は達也に振ってみた。

「ないな、残念ながら。しかしおまえがその機会をつくってくれるというなら喜んで……」

「自助努力に期待する」

 ぷいっ、と横を向く俺。

 こんな馬鹿らしいやり取りを、いったい今まで何回続けてきただろう。

 俺たちは、下手な恋人同士よりも、互いのことを分かり合ってる。

 そんな気がしていた。