俺たちはそれから、少しの間三人で飲んでいたが、知のいびきがうるさいので、中断することになった。

「とりあえず、二人を部屋に運ぶか?」

「そうだな。飲みなおすにしても、これじゃな」

「あ、じゃあ、私、お茶買ってきます」

 見由が言った。酔っ払ってはいないようだから、途中でつぶれる心配はないだろうが……。

「もう暗いし、俺もついて行くよ」

 達也が言った。ま、それが無難なところだろうな。

「じゃあ、俺は二人を部屋に運んどく」

「星空ちゃんに変なことするんじゃねえぞ」

 からかうように、達也が言う。

「うるせ。早く行け」

 二人を追っ払ったあと、俺はまず星空から起こしにかかった。

「おーい、起きろ」

「う……うーん……」

 体をゆするが、星空はぐったりとして、あまり動かない。どうも一人では起き上がれそうにないようだ。

「しょうがねえなあ」

 俺は背中を向けると、その背に星空の体を乗せた。
 彼女をおんぶしたまま、ゆっくりと立ち上がる。

「あまり動くなよ」

「はーい……」

 それから部屋を出て、階段を上る。

 階段を上るとき暴れるのではないかと、内心ヒヤヒヤしていたが、無事階段を上りきった。

「星空。部屋に着いたぞ。星空ー」

「りょうかーい……」

 星空はかろうじて返事をした。しかし、顔はまだ寝ている。

「立てるか?」

「うん……大丈夫」

 星空はようやく地面に立つと、寝ぼけ眼をこすって、ポケットから鍵を取り出した。

「ごめんね。ありがと……」

 よたよたと倒れそうになりながら、部屋に入っていく星空。

「やばそうだったら、すぐ電話しろよ」

「はーい……おやすみ」

 そう言いながら、星空は部屋に消えていった。

 それを見届けてから、俺は一階に戻り、知に手をつけた。