そして、放課後。待ち合わせ場所の校門で、穂波は俺が買ってきた見舞いの花を見ると、大きなため息をついた。
「はぁ」
 穂波はげんなりしている。会うそうそう失礼なやつだ。
「なんだいきなり」
 こいつも、俺に対して喧嘩を売る星空一派の仲間だろうか。
「ゆうくん、これ、私を笑わせようとかじゃないよね」
 穂波は疲れた様子で、俺の持っている花を指差す。その花は、彩りがあってとてもきれいだ。と思う。
「おかしいか?」
「おかしいも何も、これ仏花じゃない。仏壇とかに供えるやつだよ」
「え、そうなの?」
 俺は驚いてその花を見た。花屋で一番前に置いてある花を、考えなしに買ってきたのだが。安かったし。
「そんなの持っていったら、達也君、ショックで寝込んじゃうよ。別なの買いに行こ」
 穂波は俺の右袖を、ぐいと引っ張った。結局、その花はゴミ箱に行く運命になった。すまん、花よ。俺が無知だったばかりに。
 その後、花よりも実用品という穂波の考えで、おかゆやらうどんやらが買いこまれ、達也の部屋に行くことになった。