「祐介、悪い。風邪引いてしまった」
 携帯の向こうで、派手にくしゃみする音が聞こえる。
「大丈夫か? 熱は?」
 俺は駅までの道を走りながら、電話を手にしていた。
「38度5分だ。これからもっと上がるかもしれない」
「そうか。じゃあ、今日の学校は当然休みとして、明日からの旅行も無理か?」
「すまん」
 達也はそれだけ言った。まあ、今そんなに熱があるのなら、たとえ今日中に下がったとしても、明日旅行に行くのは無理だろう。
「気にするな。じゃあ、先生と穂波には俺から伝えておく。医者にはちゃんと行けよ」
 俺はそう言って、電話を切った。これでゴールデンウィークの予定はパアだ。まあ、風邪なら仕方がない。