「というわけで、見由とはナシ」

「つまんないですねえ」

 すねたように、見由が言った。

「さて。じゃ、帰るか」

 知が言い、それを合図に、その日の活動はおしまいになった。

 次の日。早速実力テストが行われた。

 国語と数学、それに英語の、計三科目。

 そのテストは、翌日には採点され、俺たちの元に返された。

「では、テストを返す。出席番号順なので、どんどん取りに来るように。なお、40点以下の者には、追試のお知らせをつけてあるから、よく読んでおけ」

 そう言って、太田先生は順番にテストを返す。

 出席番号1番の俺は、クラスで一番最初にテストを受け取った。

 テストの中身は、英語45点、数学42点、国語49点。

 見事に赤点は免れた。しかも赤点すれすれの点で。

「おお、見事だな。全部40点以上50点以下じゃないか」

 俺のテストの点を聞き、知は感嘆の声をあげた。

 俺は堂々と言葉を返してやる。

「中学時代は、『赤点際の魔術師』の名をほしいままにしたものよ」

「あんまり威張れることじゃないと思うんですけど……」

 隣にきていた見由が、地味に言ってくる。

「そういう見由は何点だ?」

 俺は彼女が持ってるテスト用紙を見て、「げっ」と声をあげた。

 英語75点、数学62点、国語86点。いずれも、俺よりはるかにいい点数だ。

 やはり、あのとき勝負を避けた俺の目は正しかったようだ。

「で、知は?」

 俺は知が持ってるテストの点数を見て、「げげっ」とさっきより大きな声をあげた。

 こちらは、いい点数なんてレベルの話じゃない。

 英語97点、国語94点、数学100点。ほとんど満点に近い点数だ。

 どうやったらあのテストでこんな点が取れるんだ。

「あー、静かに。みんな席に着け」

 太田先生が言い、生徒たちは自分の席へと戻った。