「本当にいいのか? 途中で彼氏ができたから離脱っていうのはナシだぞ?」

「大丈夫です。それはないですから」

 自信満々に断言する見由。

 なんでそんなにはっきり言えるんだろう。

 俺でさえ、残り1パーセントの可能性に賭けているというのに。

 突然見ず知らずの女の子が告白してくるとか、偶然知り合ってたちまち意気投合とか。

 道端で落としたコンタクトレンズを拾って仲良くなるとか。

 ありえないとわかってはいても。
 
 ――――まあ、そのへんは人それぞれか。

「というわけで星空、不毛なクリスマスパーティーは開催されることに決まった。おまえの出欠は前日まで待ってやるから、それまでに知らせるように」

「わ、わかった」

 多少動揺しながら、了承する星空。

 こうして心理的に圧迫をかけていかないと、人間なかなか踏み出せないものだ。

 その日、家に帰った俺は、じっとカレンダーを眺めていた。

 来月には、もう学園祭が開催される。それが終われば、クリスマスまではもうあと二ヶ月。

 そんなことを考えながらカレンダーを見ていたら、ふと気づいた。

 学園祭のある10月23日は、あの日から、ちょうど一年の日だ。

 そして同時に、運命の日まで、あと二年になる。

「あれからもう一年か……」

 俺は感慨深くつぶやいた。

 そう、もう一年になるのだ。

 俺と穂波の時が止まってしまった、あの日から。

【第六話終 第七話に続く】