「それより、今日の朝礼、聞いたか?」

「すごいですよねー」

 感嘆した表情で言ってくる見由。

「知さん、何でもできるんですね。すごいです」

 見由はしきりに感心している。

「中学時代も、あんな感じだったのか?」

 たしか星空は知の中学時代の同級生だったはずだ。

「中学時代はもっとすごかったよ。それこそ、毎日何かで表彰されてるような感じだったからね」

 弁当のおかずをほおばりながら言ってくる星空。

「というか、賞をもらってるの、久々に見たって感じ? 高校に入ってから、なんだかやる気なくしてるみたいだったから」

 ちょっと顔をほころばせる星空。

 知がやる気を出した姿を見せているのが、嬉しいのだろう。

「あたしとか祐介みたいに、賞をもらったことがない人間には、うらやましい限りだけどね」

 星空は勝手に決め付けた。

 俺の対抗心が、むらむらとうずいてくる。

「賞なら俺ももらったことはあるが」

「居残り賞とかでしょう?」
 すかさず星空が言ってくる。

「あと、がんばりま賞とかな。担任のハンコつきで」

 俺のボケに、見由はくすくす笑ってくれるが、星空からは冷たい視線だけが返ってきた。

「あんた、いっぺん死んだほうがいいんじゃない?」

 相変わらず失礼なやつだ。ちゃんと俺の価値は指摘してやらねばなるまい。

「あれだぞ、もし本当に俺が死んだら、寂しくて泣くぞ、おまえ」

「あれだよね、チロルチョコを食べ終わってしまったときのような感覚だよね、きっと」

「俺の価値は20円か……」

 そんなどうしようもない会話をしながら、昼食の時間が過ぎる。