ダブルデートが終わった次の日。

 一時間目が終了した後の休み時間に、俺は星空から、教室で詰問を受けていた。

 席に座っている俺の真正面に立ち、怒っている星空。

「見捨てて帰るなんて、ひどいじゃない」

 ばん、と机を叩く。

「何を言ってる。星空のために、セッティングしてやったんだ」

「いつも通りでいいって、言っといたでしょ」

「俺たちはいつも通り買い物に行ったんだ」

 あくまでひかない俺。

 ここでひいたら負けだと、俺の本能が語りかけている。

 ここは強気で行くしかない。

「それより、あのあと、星空たちはどうなったんだ?」

 俺が聞くと、星空は怒った顔を普通の顔に戻し、机から手を離した。

 右の頬辺りに手をつける。

「うーん、普通に食事して、お話して、それから帰った」

「いい雰囲気になれたか?」

「まあまあ、かなあ」

 首をかしげる星空。

 自分でも、うまくいったのかどうかはわかっていないらしい。

「なんだ、告白はしなかったのか」

「まだ、そういう感じじゃなかった」

「いつ告白するんだ?」

 俺が聞くと、星空はちょっと赤くなった。

 手を組み合わせて、もじもじしている。

「そ、そのうち」

「そのうちって言ってる間に学生生活終わるぞ、お前」

 俺が言うと、星空はまた急に顔を怒らせて、机をばんと叩いた。

「なによっ!いつ告ろうが、私の自由でしょ!」

 照れ隠しなのは明らかだ。

 叫ぶ星空に対し、俺は冷静に言った。

「そりゃ確かにおまえの自由だが、一つ教えてやる」

「なによ」

「みんな見てるぞ」

 俺が言うと、星空は慌てて周りを見回した。

 休み時間とはいえ、ここは教室である。

 告るだの告らないだのという話をしてれば、いやでも目立つ。

 まして、星空のように大声で叫べば、なおさらである。

 教室のほぼ全員が見ていることに気づいた星空は、逃げるようにして俺の前から去っていった。