俺の言葉を聞くと、穂波は早速メッセージカードを開いた。

「ええと……?」

 穂波は左手でぬいぐるみの入った袋を持ちながら、右手でカードを開き、読む。

 それにはこう書かれていた。
 
 穂波、誕生日おめでとう。これからもよろしく
 祐介
 
 穂波はそれを読み終わると、目を大きく見開いて、俺のほうを見た。

「覚えててくれたんだ」

「当たり前だろ。明日、穂波の誕生日だったよな。本当は、明日買って渡そうと思ったんだけど」

「ありがとう。嬉しい……」

 穂波はそう言って、ほのぼのとした笑顔を見せた。

「てっきり、忘れられてると思ってた」

「ばぁか。自分の誕生日は忘れても、穂波の誕生日は覚えてるよ」
 
 穂波は無言のまま、俺の瞳をじっと見つめてくる。

 照れくさくなって、俺はちょっと視線をそらした。

「さ、飯食って帰るぞ」

 気恥ずかしくて、話題をそらす。

 やっぱり、格好いい大人にはなりきれない俺だった。

「うんっ」

 穂波は満面の笑みでうなずくと、俺の隣に近づいてきた。

「なんだか、本当のデートみたいになっちゃったね」

「そだな」
 緊張しながら歩く俺。

 周りから見たら、俺の顔はきっと赤くなっていたに違いない。