「二人の趣味が合うところってどこだろう」

「そうだね……じゃあ、スポーツ観戦とかはどうかな?」

「あ、それいいかもしれない。達也はゲームの次にスポーツが好きな男だし」

 ゲームとスポーツって、なんだか矛盾するような気がするのだが、これは事実だ。

 達也はテレビでもスポーツ観戦は欠かさない。

 いつだったか、生で見に行きたいって言ってたこともある。

「星空も、スポーツ見るの大好きだしね」
 穂波が言った。

「星空は、どんなスポーツが好きなんだ?」

「特に好きなのはバスケだけど、何でも見ると思うよ。こないだはサッカーを見てすごい騒いでたし」

「プロレスとかも?」

「あ、格闘技は苦手かも。血を見るのは嫌いって言ってた」

「そか。じゃあ、あとは達也と話して決めないとな」

 俺はそう言って、オレンジティーを飲み干した。

「そうそう。聞き忘れてたけど、穂波はそれでいいのか?」

「それで、って?」

 穂波はきょとんとしている。

「いや、スポーツ観戦とか好きなのかってこと」

「やだな、そんなことに気を使わないでよ。私は今回脇役なんだから」

 穂波は口に手を当てて笑った。

 だが、その表情を見ると、まんざらでもなさそうだった。

 もう一つ、「相手は俺でいいのか」と聞こうとしたが、ばからしくなってやめにした。

 たぶんこの女は、そんなことなんとも思ってないのに違いない。