それはさておき、例の件を聞かなくてはなるまい。

「でさ、星空の話だけど、穂波も知ってるんだよな?」

 俺は本題に直進した。いちいち回りくどい聞き方をする必要もないだろう。

「うん。三日くらい前に、星空から聞いた」

「意外だよなー。びっくりしたよ。穂波は前からわかってた?」

「確信じゃないけど、なんとなくそうかなとは思ってたよ」

 穂波はグラスに挿されたストローで、ジュースと氷をかきまぜながら、そう言った。

 その言葉すら、俺には意外だった。

「どこからわかった?」

「みんなで話してるときの視線とか、言葉遣いとか」

 ほーう、と俺は感心した。細かいところを見ているもんだ。

「すごいな。俺は、まったく気づかなかったぞ?」

「そういうの、ゆうくん鈍いもんね」
 穂波は無遠慮に言った。

 グサリ、と俺の胸にその言葉が突き刺さる。

 気にしていることを。

「ほっといてくれ」

「あはは。冗談、冗談」

 穂波はそう言って笑った。

 全然冗談じゃないくせに、と俺は心の中でひねくれてみた。

「で、その鋭い穂波さんからすると、達也のほうは星空のことをどう思ってるのかな?」

「それは、私よりゆうくんのほうが詳しいんじゃない? 男の子同士だし」

 手のひらをこちらに向けて言う穂波。

 俺は少し考えてみた。

「達也から、あんまりそういう話を聞いたことはないなあ。誰が好きだとか」

「誰も好きじゃないってこと?」