星空から、衝撃の事実を聞いた日の夜。

 俺は二階の205号室、つまり穂波の部屋を訪れた。

 星空によれば、まだこのことを知ってるのは俺と穂波だけらしい。

 何も持たずに、穂波の部屋のチャイムを押す。

 一応、電話で前もってアポは入れてある。

 インタホンに、穂波が出た。

「はい」

 インタホン越しに、穂波の声が聞こえる。

「俺」

「あ、今鍵開けるから」

 ぱたぱたと音がして、玄関の扉が開く。

 秋物の長袖シャツを着た穂波が、そこにいた。

 そういえば、そろそろ夜は少し肌寒くなってきている。

「どうぞ」

「おじゃましまーす」

 まるで恋人同士のように、遠慮なく上がりこむ俺。

 そして、無警戒の穂波。

 これほど仲のいい、ただの友人もいないんじゃないかという気がしてくる。

 玄関には、丁寧にスリッパが揃えて置かれていた。

 そのスリッパに足を通し、部屋の中へと入る。

 中にはカーペットが敷いてあって、すぐスリッパは脱ぐことになるから、あまり意味がないような気もするのだが、その辺は穂波のこだわりなのだろう。

 部屋の中は、相変わらずぬいぐるみだらけだった。

 動物やらキャラクターもののぬいぐるみなんかが、所狭しとおかれている。

 数えたこともないし、数えたくもないが、いったい何個あるのだろう。

「なんか、また一段とぬいぐるみが増えたな」

「あ、そういえば、ゆうくんがこの部屋に入るのって、はじめてだったよね」

「そうだな。まあ、そんなに用事もないし。用事があってもたいてい俺の部屋で話すしな」