旅行より帰ってからは、特に何事もなく、毎日が過ぎていった。

 一週間だけ実家に帰ったが、特に大歓迎されたわけではなく、さりとて冷たくされたわけでもなく、普通に栄養補給だけをして、またさうす・りばてぃーに戻ってきていた。

 そして、気づけば8月30日。

 夏休みはあと二日だ。

 宿題は、ほとんど手付かずのまま残っている。
 
 なんてことだ。

 そもそも、なんでこんなに早く夏が過ぎていくんだ。

 旅行から帰ってから、何をしていたか、思い出してみよう。

 昼寝、テレビ、昼寝。

 達也の部屋に行って一日中ゲーム。

 テレビ、昼寝、テレビ。
 
 知の部屋に行って漫画を読む。

 昼寝、テレビ、テレビ。

 ――――なんという有意義な休みの過ごし方だろう。

 自分で自分に感心した俺は、宿題に取り掛かることにした。

 部屋の隅でほこりをかぶっていた、宿題の山を取り出す。

 夏休みに入った直後、一週間で宿題をやりとげてしまおうと志し、二時間で挫折したままになっていた山だ。

 そのとき、チャイムが鳴り、来訪者の存在を告げた。