一応、さっきのセリフに関しても弁明しておかねばなるまい。

 最近妙に星空や見由に絡まれることが多いので。

「だいたい、おまえら俺と穂波のことを勘違いしすぎ。あいつとはただの中学の同級生」

「そうじゃないって話も聞くんですが……」
 見由は楽しそうに言った。

 少し引っかかるものがあったが、必要以上にムキになるのもみっともないので、流すことにする。

「人のことより、見由は好きな人とかいないの?」

「私ですか? そうですね、いないこともないですよ」
 見由は少しためらいながら言った。

 そのしぐさはごく自然で、少なくとも嘘をついているような感じではない。

「俺か?」
 ずうずうしく聞く俺。

 見由はまた笑った。

「はい、もちろんお兄ちゃんは大好きですよ」

 あっさり言う見由。

 どうやら俺ではないらしい。

 それ以上突っ込むのもためらわれたので、その会話はそれでおしまいになった。

 あとは、好きな芸能人とか、好きな曲の話をして、三十分が過ぎる。

 ボートを返した俺たちは、コテージに戻ってきていた。

 そこで、知や星空と再会する。

「どうだ、絵の進み具合は?」

「おかげさまで順調だ」

 知の絵はまだデッサン段階だった。

 これから完成まではまだ一苦労があるのだろう。