「そうそう、達也、かっこよかったよ。私をおぶってここまで歩いてきてくれたもんね」

 星空はぴっと人差し指を立てながら言った。

 今の彼女は、風呂上りのため、長い髪をほどいている。

 ほっそりとして、赤く上気している顔は、普段よりも色気があるように見えた。

「おいおい、なんか俺たちだけ仲間はずれっぽいぞ」

「そうですねー、寂しいです」
 知と見由が、おどけてそう言った。

 部屋の中が笑いに包まれる。俺たちは、ようやく平和な時間が戻ってきたのを感じていた。

 そして三十分ほど話し込んだあと、俺たちは自分のコテージへと帰ることになった。

 俺たちは疲れていたし、彼女たちも疲れているだろう。

 コテージにつくと、すぐ寝ることにした。

 明かりを消し、各自のベッドにもぐりこむ。

 程よい疲労感が、俺の全身を包み込んでいる。今日はすぐ寝られそうだ。

「なあ、祐介。おまえ、よく穂波ちゃんの声、聞こえたな」
 隣のベッドで寝ている達也が、話しかけてきた。

 俺は目を開けて、首だけそちらを向く。

「まあ、なんとなくな」

「俺なんか全然聞こえなかったぜ」

「うん……なんとなく、あいつが叫んでるんじゃないかって気がして、耳をすませてた」

 俺が言うと、達也は大きく息を吐いた。

「そうかそうか、おまえたちのラブパワーに割り込もうとした俺が悪かったよ」

 達也はまたそんなことを言って俺をからかう。

「バーカ」

俺はそれだけ言うと、目を閉じた。ほどなく睡魔が襲ってきた。