サーチライトのように、その姿を探すこと三十秒。

 崖の中腹あたりに、穂波と星空の姿を見つけた。

 狭い足場の上に、二人がいる。

 二人ともずぶぬれだ。

 俺たちに向かって、大声で叫んでいる。

「ゆうくーん!」 

 穂波は俺の姿に気づくと、大きく手を振った。

 声がかすれている。

 きっと、俺たちが通りかかってから、いや、おそらくそれよりずっと前から、叫び続けていたのだろう。

「待ってろ!今助ける!」

「星空が、怪我してるの!」

 穂波の叫び声が聞こえる。

 穂波の足元で、うずくまる星空がいた。

 意識はあるようだが、足を痛めているようだ。
 
 助けるとは言ったものの、どうやって助けたらいいだろうか。

 崖といっても、比較的緩やかな斜面だから、降りていけなくはない。

 しかし、怪我してる星空が上がってくるのは不可能だ。

 おぶるにしても、斜面を一人抱えて登るのは至難の業だ。

 おまけに、彼女たちのいる斜面のすぐ下あたりから、急な斜面になっている。

 一歩間違えば、崖下に転落する恐れがある。

「何か、掴むものがいるな」

「といっても……」

 俺と達也は顔を見合わせる。

 コテージまでは、二十分近くかかる。

 この大雨では、がけ崩れが起きかねない勢いだ。

 二人がいる足場も、不安定なことこの上ない。

 戻っていたら、間に合わないかもしれない。