「勇也に聞いた!お前が女と歩いてるの見た〜!!って。」



勇也は、ただの同級生。そこまで仲が良い訳でもないのに…



『ベラベラと余計なこと言いやがって…』


大「照れてるん?別にいいやん!!なぁ、花ちゃん?」


花「うん。知られたら困る事でもあるん?」


『ないけど…。もう、俺の話は終わり!!大和こそ、どうなんだよ?瑞希元気なん?』



夏が来る前に[父親]になる大和。


わざわざ聞かなくても“幸せ一杯”と言わんばかりの顔が、返事を物語っている。




「誤魔化しよった(笑)…元気やで〜。この間、一緒に病院行ってんけど…感動して泣きそーになったがな!!笑」


『お前がオトンか〜。へぇ〜、世の中不思議やでな〜。』


「それ、どう言う意味?笑」



昔は無口だった大和が…、感情を表に出さないポーカーフェイスの大和が

良く喋って、全身で幸せオーラを出している――。



『良い意味で!!』



こんな些細な事ですら、温度差を感じるのは
ただのヒガミなんだか…?



「ちょっとトイレ〜」



そう言って、店の奥に消えて行く花の背中を見ていると

嫌でも分かるくらいに、ここだけ空気が変わった。





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