玄関のドアを力任せに開け
昨日同様『どうぞ』だけ言い、スタスタと中に入って行く
「お邪魔します―…」
コーヒーメーカーのスイッチを入れて、昨日と同じカップにコーヒーを注ぎ、花の前に置いた
「いきなり来てゴメン…」
申し訳なさそうに言う花は…俯いたまま、目の前のコーヒーに手を付けようとしない…
『俺こそ連絡出来なくてゴメン。友達と会っててさー、帰ってからメールしよう思ってたから……ビックリした。苦笑』
「忙しいのにゴメン…」
さっきから、何回目のゴメンやろ…?
相変わらず俯いたままやし――。
真冬の冷気で冷えたリビングの床に直に座る花を立たせて、
ソファーに座らせ、目の前にかがむと…目を左右にキョロキョロさせる花の顔が目に入った…
『謝らんでいいで?来てくれてありがとう!』
花の手を取り、小さい子をあやす様に言うと
ゆっくりと顔を上げ
「ほんと…?迷惑じゃない?」
なんて、遠慮がちに言って来るから、首を縦に振ると
ようやく笑顔を見せてくれた。
『鼻、赤いよ?寒い?……手も、こんなに冷えて…お風呂入る?』
「ありがとう―…。」
.