何の躊躇いもなく、あのスウェットを手に取り
何の躊躇いもなく、花に手渡した。
何でアレを渡したんやろ―…?
何で空のスウェットを渡したんやろ…。
まだ、空が実家にいた頃――
毎晩の様に俺の部屋で寝ていた空は、パジャマまで俺の部屋に置いていた。
それが、あのスウェット。
1人暮らしを始める時、他の荷物に紛れて一緒に持って来た…
――嘘。
分かってて持って来た。
もしかしたら、また空が着るかもしれない!!って…
そんな淡い期待を抱いて。
引っ張った時に、一瞬だけ微かに薫った空の匂い…
目を閉じたら、近くに空がいる様な錯覚さえ覚えた。
『限界かも……。』
.